「新規のお客様を増やすには、とにかく広く宣伝するしかない…」
本当に、そうでしょうか?
先日、ある企業の担当者から相談を受けました。
「チラシも撒いて、新聞広告も出して、インスタグラムも始めたんです。でも、思ったよりも反応がなくて。これって、予算が足りないんでしょうか?」
実は、これは予算の問題というよりもむしろ、「お客様の気持ち」を理解していないために起きていることが多いんです。
たとえば、あなた自身を思い出してください。
最近、何か新しい商品やサービスを選ぶとき、どうやって情報を集めましたか?
「これ、いいかも」と思ったとき、すぐに購入を決めましたか? それとも、もう少し情報を集めようと思いましたか?
実は、お客様の気持ちには「段階」があります。この違いを理解せずに情報発信すると、せっかくの予算も時間も、ほとんど効果を生まないんです。
今日は、webマーケティング戦略を考える上で超重要な「お客様の気持ちの3段階」と欲求別のアプローチの仕方について、地方企業の具体例とともにお伝えします。
・ なぜ一生懸命発信しても反応が薄いのか
・効果的な情報発信のための3つの考え方
・地方企業だからこそできる、共感を生む発信法
・情報発信の効果が今ひとつ実感できない方
・若い世代への訴求に悩んでいる方
・SNSやWebをもっと効果的に活用したい方
・新規のお客様開拓に課題を感じている方
お客様の気持ちは3つに分かれている:欲求別アプローチ

情報発信を効果的に行うために、まず理解しておきたい大切な考え方があります。
それは「欲求別アプローチ」という考え方です。
実は、お客様の気持ちには3つの大きな段階があるんです。

① 顕在欲求層(すぐにサービスを求めている)
② 潜在欲求層(興味はあるが、すぐ行動しない)
③ 欲求なし層(そもそも興味がない)
この3つの層は、どの業種でも、どの地域でも同じように存在します。
「欲求別アプローチ」とは、簡単に言うと、この3段階の「お客様の気持ちの状態に合わせて、情報発信の方法を変える」という考え方です。
たとえば、図の一番下にある顕在欲求層。この層のお客様は、すでに「買いたい」「依頼したい」という明確な意思を持っています。見積もりが欲しい、相談をしたい、という具体的な行動を起こす準備ができているんです。
真ん中の潜在欲求層のお客様は少し違います。「興味はある」けれど、まだ具体的な行動を起こすまでには至っていない。そんな状態です。たとえば「いつかはやってみたいな」「もう少し詳しく知りたいな」という段階ですね。
そして一番上の欲求なし層。この層のお客様は、商品やサービスに全く興味を持っていない状態です。当然ながら、この層が一番人数が多いです。
この3つの層に対して、それぞれの気持ちに合った情報を届けることで、はじめて効果的な集客が可能になっていきます。
ここで大切なのは、「すべての層に同時にアプローチする必要はない」ということ。特に小さな会社や、予算の限られた会社では、まずは自社に合った層から始めることをおすすめします。
基本的には顕在層からアプローチするのが王道です。なぜなら、この層は最も早く結果が出る層だから。「すぐに買いたい」と思っている人たちに適切な情報を届ければ、すぐに反応が返ってきます。限られた予算や人員の中で成果を出していく上で、まずは顕在層への対応をしっかり行うことが重要なのです。
では、なぜこの3つの層を理解することが、そんなに大切なのでしょうか? 地域の具体例で見てきましょう。
3つの層のお客様、それぞれの気持ち

それぞれの段階にいる「お客様の気持ち」を、地元密着の工務店を例に具体的に見ていきます。
①すでに「買いたい・依頼したい」と思っているお客様(顕在欲求層)
👤お客様の気持ち
・土地は決まっているので、工務店を比較検討中
・来月から具体的な打ち合わせを始めたい
・予算も組んでいて、すぐにでも動きたい
②「興味はある」けれど、まだ行動を起こさないお客様(潜在欲求層)
👤お客様の気持ち
・マイホームに興味はあるが、まだ具体的な予定はない
・建売と注文住宅、どちらがいいか検討中
・予算や土地の相談から始めたい
③ まだ興味を持っていないお客様(認知なし層)
👤お客様の気持ち
・今は賃貸で十分
・将来的な家づくりもまだイメージできない
・注文住宅という選択肢自体を知らない
そう、ここで重要なのは、これら3つの層では、必要なアプローチが全く異なるということです。なぜなら、お客様の気持ちの段階がこんなにも違うから。同じように営業をかけても、逆効果になってしまうことさえあります。
では、それぞれの層に対して、どのようなアプローチが効果的なのでしょうか?
具体的な集客戦略
引き続き、地元密着の工務店の例で考えていきましょう。
それぞれの層に対して、どのような戦略が効果的なのかを見ていきます。
①「買いたい・依頼したい」お客様へのアプローチ(顕在欲求層)
この層のお客様は、すでに「家を建てたい!」と明確に思っていて、どの工務店に依頼するか比較検討している段階です。
👤お客様の気持ち
・土地は決まっているので、工務店を比較検討中
・来月から具体的な打ち合わせを始めたい
・予算も組んでいて、すぐにでも動きたい
💡効果的な情報発信例
・「今月中の契約で、太陽光発電システムプレゼント」などの具体的な特典
・「土地探しからサポートします」といった明確なサービス内容
・「A邸の施工事例」といった実績紹介
・問い合わせしやすい導線(フォーム、LINE登録など)
💡配信メディア例
・自社Webサイトの「お問い合わせ」周辺
・リスティング広告(Google広告など)
・地元情報誌の広告
そうです!この層のお客様は、すでに「買おう・依頼しよう」という気持ちになっていますので、「なぜ選ばれるべきか」という情報が一番響きます。比較検討しているわけですから、他社との違いや、具体的なメリットが決め手になるんです。
地方企業の強みは地域に根ざした信頼性です。長年の実績や地元の気候風土に合わせた家づくりなど、地域密着ならではの強みをアピールしましょう。
②「興味はある」けれどまだ行動しないお客様へのアプローチ(潜在欲求層)
この層のお客様は、「いつか家を建てたいな」と思っているものの、まだ具体的な行動を起こすまでには至っていない状態です。
👤お客様の気持ち
・マイホームに興味はあるが、まだ具体的な予定はない
・建売と注文住宅、どちらがいいか検討中
・予算や土地の相談から始めたい
💡効果的な情報発信例
・「はじめての家づくり講座」といった入門コンテンツ
・「後悔しない間取りづくりのポイント10選」などの役立つ情報
・「地元工務店と大手ハウスメーカーの違い」といった比較記事
・実際に建てたお客様のストーリー(インタビュー記事など)
💡配信メディア例
・SNS(Instagram、Facebook)
・ブログ記事
・小規模セミナーや相談会
この層に対しては「教育・啓蒙」がキーワードです。いきなり「来店してください」ではなく、まずは家づくりに関する知識や情報を提供し、徐々に具体的な検討へと導いていきます。
③まだ興味を持っていないお客様へのアプローチ(認知なし層)
この層のお客様は、現時点では家づくりに興味がなく、「今は賃貸で十分」と考えている状態です。
👤お客様の気持ち
・今は賃貸で十分
・将来的な家づくりもまだイメージできない
・注文住宅という選択肢自体を知らない
💡効果的な情報発信例
・「地元の暮らし」「子育て」などのライフスタイル情報
・「DIYのコツ」「インテリアの工夫」など住まいに関連する話題
・地域のイベント情報や地域貢献活動の様子
・「社員の日常」「職人の技」など、会社の雰囲気を伝える投稿
💡配信メディア例
・SNSの日常的な投稿
・地域イベントへの参加
・地元タウン誌や新聞への情報提供
この層に対しては、「家を建てませんか?」という営業的なアプローチは逆効果。むしろ、「こんな会社がある」「こんな人たちが働いている」という認知を増やし、将来家づくりを考えるときに思い出してもらえることが重要です。
地方企業の強みは、地域との密接なつながりです。地域のお祭りに参加したり、地元の小学校での職業体験を受け入れたりといった活動も立派な情報発信になります。
地方企業にこそ「欲求別アプローチ」が必要な理由
うまくいかない情報発信の多くは、欲求別アプローチを無視していることが原因です。
なぜなら、すべての層に同じ内容で営業をかけると、どの層からも響かないどころか、かえって嫌われてしまうから。
特に地方企業にとって「欲求別アプローチ」の考え方が重要な理由が3つあります。
① 限られたリソースを効果的に使える
地方企業では予算も人員も限られています。一人で何役もこなす担当者がすべての媒体を同時進行することは現実的ではありません。
欲求別アプローチを理解すれば、「今、自社にとって最も効果的な層はどこか」を見極め、そこに集中投資できます。工務店の例では、まずは「家を建てようと思っている人」を確実に獲得してから、次のステップに進むという戦略ができるようになりました。
② 顧客に嫌われない営業ができる
「全く興味のない人」に対して「今すぐ契約してください!」と営業をかけるのは最もよくある失敗です。これでは顧客に嫌われるだけでなく、会社のイメージダウンにもつながってしまいます。
欲求別アプローチなら、各層の気持ちに合った適切な情報提供ができます。
③ Webの強みを最大限に活かせる
実は、この欲求別アプローチは、Webだからこそ実現できる戦略です。
Webでは:
・検索してきた人(顕在層)には「お問い合わせはこちら」
・ブログ記事を読んでいる人(潜在層)には「関連コンテンツはこちら」
・SNSで偶然見かけた人(認知なし層)には「会社の雰囲気」
というように、それぞれの接点で異なる情報を届けることができます。これがWebマーケティングの最大の強みなのです。
やってみよう!:レベル2 クエスト

さあ、あなたの番です。たった5分でできる簡単ワークです。
【1】 自社の「お客様の3つの層」を具体的に考え、気持ちを書き出してみましょう。
1. 顕在欲求層:すでに「買いたい・依頼したい」お客様
(例:工務店なら「すでに家を建てたいと思っていて、今まさに工務店を探している」)
2. 潜在欲求層:「興味はある」けれどまだ行動しないお客様
(例:工務店なら「いつか家を建てたいと思っているが、まだ具体的な計画はない」)
3. 認知なし層:まだ興味を持っていないお客様
(例:工務店なら「今は賃貸で十分、家を建てる予定はない」)
レベルアップ!

おめでとう!あなたは「欲求別マーケティング」の基本を習得しました!
自社のお客様の3つの層、言語化できましたか?
思っていたよりもシンプルだったでしょ?
このステップは、このあとの強力な武器になってきます。さあ、次のレベルを目指して、一緒に成長していきましょう!
💡① 市場のお客様は3つの層に分かれている
・顕在欲求層:今すぐ買いたい・依頼したい人
・潜在欲求層:興味はあるが、まだ行動を起こさない人
・欲求なし層:まだ興味を持っていない人
💡② それぞれに適したアプローチが必要
・顕在欲求層 → 直接アプローチ:具体的な条件・強みを提示
・潜在欲求層 → 興味を高める教育・啓蒙が中心
・欲求なし層 → まずは会社の存在を知ってもらう
💡③ すべての層に同じアプローチをすると、逆効果になる
・欲求別アプローチ力 +10【達成】
・顧客心理の理解力 +8【達成】
・Web集客の工夫力 +7【達成】
大切なのは、難しいマーケティング用語や複雑な理論ではなく、実は「お客様の気持ちに寄り添う」という、シンプルな考え方。
地方企業だからこそ、このお客様の気持ちに合わせた情報発信が効果を発揮します。なぜなら、地域密着だからこそできる「顔の見える関係づくり」が強みになるからです。
次回は【Lv.3】で「顕在欲求層への具体的なアプローチ術」について、より詳しく解説します。お楽しみに!
