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【Lv.5】選ばれる理由を作ろう!地方企業のためのUSP戦略

「また値下げを求められた…このままでは利益が出ない」

「ホームページにお金をかけたのに、全然反応がない」

「うちの会社の良さが伝わらない…大手にばかり客を取られる」

こんな悩みを抱えている地方企業の担当者、多いのではないでしょうか?

よく地方の中小企業から聞かれる悩みがあります。

「チラシも配って、ホームページも作って、SNSも始めたのに、大手企業にお客さんを取られる一方です。このままでは5年後、経営が厳しくなるかもしれません…」

実はこの状況、「このビジネスで、あなたの会社を選ぶ理由は何?」 という問いに明確に答えられないことが根本原因なんです。

どれだけ良い商品やサービスを提供していても、「社と何が違うのか」がお客さんに伝わらなければ、結局は「安いところ」か「知名度のあるところ」が選ばれてしまう。

これからの時代、「良いものを作れば売れる」は通用しません。

そこで必要なのが「USP(ユニーク・セリング・プロポジション)」。難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、本質は単純です。

「あなたの会社だけが持つ、独自の価値」

「お客さんが”あなたの会社じゃないとダメ”と思う理由」

今日は、このUSPの考え方と作り方について、地方企業ならではの視点でお伝えします。この戦略さえ身につければ、価格競争の消耗戦から抜け出し、「値引きなし」でも喜んで選んでもらえる会社に変わることができます。

この記事で学べること

・なぜUSP(独自の価値)が地方企業に必要なのか
・USPを作る3つのポイント
・地方企業ならではのUSP作りの実践例

こんな方におすすめ

・大手企業と価格競争をしてしまい、利益が出ない方
・「良い商品やサービスなのに選ばれない」とお悩みの方
・効果的な差別化戦略を知りたい方
・Webやチラシで「何をアピールすべきか」わからない方

USPがなぜ必要なのか?

さっそくですが、質問です。

「なぜお客さんは、他の会社ではなく、あなたの会社を選ぶべきなのですか?」

この質問に即答できないなら、危機です。なぜなら…

現代では、例えばスマホで「工務店 ○○市」と検索するだけで、10社以上の選択肢が一瞬で現れます。そこからお客さんはどう選ぶでしょうか?

・「A社は坪単価が安い」
・「B社は施工実績が多い」
・「C社は大手で安心感がある」

もしあなたの会社が「何となく良い家を作っています」程度の主張しかなければ、この戦いに勝てるでしょうか?

「良い会社なのに選ばれない」現実から抜け出すには、「ここだけの価値」が必要です。

ある町の小さな工務店は、「地元の古材を活かした『記憶を継ぐ家づくり』」というUSPを作りました。すると、「先祖代々の木材を新しい家に活かしたい」というニーズを持つ特定のお客さんが、県外からも問い合わせるようになったのです。

これがUSPの力です。

「安いから」ではなく「あなただけができることがあるから」選ばれる。「知名度があるから」ではなく「あなただけの専門性や強みがあるから」信頼される。

USPを作る3つのポイント

USPを作るには、3つのポイントを押さえることが大切です。順番に見ていきましょう。

① ターゲットを絞る(特定の層に特化する)

USP作りの第一歩は、ターゲットを絞ることです。

「でも、お客さんは多い方がいいでしょ?なぜ絞るの?」

そう思われるかもしれません。実はターゲットを絞ることで、より強い魅力を作ることができるんです。

例えば、「みんなに好かれるレストラン」と「ラーメン好きが絶対に満足するラーメン専門店」、どちらが印象に残りますか?

ターゲットを絞ることで、そのターゲットにとっての「最高の提案」ができるようになります。これが差別化の第一歩なのです。

地方企業の具体例:

【例1】普通の工務店 → 「古民家再生専門の工務店」
古民家に特化することで、その分野のノウハウが蓄積され、古民家ならではの魅力を最大限に引き出せます。古民家に憧れを持つ特定の層に強く響きます。

【例2】一般的な美容院 → 「子連れママ専用の美容院」
子どもを連れていくと気を遣う美容院。でも「子連れOK」どころか「子連れ歓迎」の美容院なら、子育て中のママは安心して通えますよね。

【例3】通常の会計事務所 → 「飲食店専門の会計事務所」
一般的な会計知識だけでなく、飲食店ならではの経理処理や節税対策に詳しい会計事務所。飲食店経営者にとっては、一般の会計事務所より価値が高いですよね。

発信担当者
発信担当者
なるほど!「みんなに向けて」よりも「特定の人に向けて」の方が、実は強みを出しやすいんですね。

② 究極のベストな提案を考える

ターゲットを絞ったら、次は「その人たちにとっての最高の提案」を考えます。

ここで多くの企業が陥る罠があります。それは「競合より少し良い」程度の提案で満足してしまうこと。

真のUSPは「他社より少し良い」ではなく「顧客にとっての究極的なベスト」を目指します。

つまり、視点を「競合」から「顧客」に変えるのです。

「顧客が本当に求めているものは何か?」
「顧客の理想の未来はどんな姿か?」

このように考えることで、競合とは全く次元の違う提案ができるようになります。

地方企業の具体例:

【例1】「おいしい地元食材を使った料理」 → 「あなたが食べているのは誰が作った食材か、生産者の顔と物語がわかるレストラン」
ただ「地元食材」というだけでなく、生産者の写真や想い、栽培方法までわかる。食の安全や生産者とのつながりを大切にする人にとって、これは大きな価値です。

【例2】「英会話教室」 → 「3ヶ月で海外旅行の不安をゼロにする、60代からの英会話教室」
「英会話を学ぶ」ではなく「海外旅行の不安をゼロにする」という顧客の本当の目的に焦点を当て、さらに「60代から」と年齢層を絞ることでよりターゲットに刺さる提案になります。

【例3】「人材紹介サービス」 → 「採用後3年間のサポート付き、地域密着型人材紹介」
採用だけでなく、その後の定着までフォローする。地方企業にとって人材確保と定着は大きな課題であり、この提案は大きな価値を持ちます。

発信担当者
発信担当者
確かに「他社より少し良い」だけだと差別化になりませんね。お客さんの本当の望みを考えることが大事なんですね。

③ 競合と比較して差別化する

最後のステップは、競合との比較です。あなたが考えた「究極のベスト提案」を実現している競合がいないかチェックします。

もし似たようなサービスを提供している競合がすでにいる場合は、さらなる差別化が必要です。逆に、競合がいなければ、そのままUSPとして展開していきましょう。

この作業を通じて「市場における自社の立ち位置」が明確になります。

地方企業の具体例:

【例1】「オーガニック野菜の直売所」 → 「収穫体験付き、その場で食べられるオーガニック農園」
単なる販売にとどまらず、収穫体験や調理体験を加えることで、「買う」から「体験する」に価値を広げています。

【例2】「高齢者向けの宅配弁当」 → 「配達スタッフが毎日安否確認する、見守り付き宅配弁当」
単なる宅配弁当ではなく、地域の高齢者の安全を見守るサービスへと発展させることで、価格だけでは測れない価値を提供しています。

【例3】「通常のクリーニング店」→ 「最短2時間仕上げ、24時間受け取り可能なクリーニング店」
忙しい人向けに時間の価値を提供することで差別化。地方でも共働き世帯や時間に制約のある人へのアピールになります。

USPがもたらす4つのビジネスメリット

「USPを作ると何がいいの?」そんな疑問を持つ方もいるでしょう。 USPを確立することで、ビジネスには次のような具体的なメリットが生まれます。

1. 価格競争から脱却できる
特別な価値を提供できれば、「安さ」で勝負する必要がなくなります。利益率の向上につながります。

2. 集客コストが大幅に下がる
「誰に・何を・どう届けるか」が明確になるため、的を絞った効率的なマーケティングが可能になります。SNSや検索でも見つけてもらいやすくなります。

3. お客さんが自然と集まるようになる
「あの会社しかできないこと」があれば、お客さん自身が積極的に情報を探すようになります。あなたが営業をかけなくても、向こうから問い合わせが来るようになります。

4. 口コミが生まれやすい
「◯◯に特化した会社」という明確なイメージがあれば、「あの問題なら、あの会社に相談するといいよ」と紹介されやすくなります。

これらはすべて、「誰に・何を・どう届けるか」を深く考え、競合にはない価値を生み出すことで達成できるのです。

地方企業だからこその強み

ここまで、USPの3つのポイントを見てきました。実は、地方の中小企業には、USP作りにおいて大きな強みがあります。

1. 地域との密接なつながり
地域に根差しているからこそ、地元のニーズを細かく理解できます。大手企業には真似できない「地域特化」の視点が生かせます。

2. 迅速な意思決定と柔軟性
大企業と違い、意思決定が速く、細かなニーズに対応できる柔軟性があります。「こんなことができたらいいな」という顧客の声にすぐに応えられるのは大きな強みです。

3. 経営者自身の個性や専門性
地方の中小企業は、経営者自身の個性や専門性が直接サービスに反映されやすいです。「○○さんだから信頼できる」という人との繋がりは、大手企業には作りにくい価値です。

大手企業は「広く、浅く」サービスを提供しがちです。対して地方の中小企業は「狭く、深く」特定の領域でNo.1を目指せる。これがUSP戦略と相性が良い理由です。

よくある失敗パターンとその対策

USP戦略を実践する際、いくつかよくある失敗パターンがあります。予め知っておくことで、回避することができます。

1. 「うちは何でもできます」症候群
「何でも対応します」「どんな依頼でもOK」といったアピールは、実は強みになりません。かえって「専門性がない」という印象を与えてしまうことも。
💡対策: まずは1つの分野で「ここだけは負けない」という強みを作りましょう。

2. 「ウチだけ」と思っていたら、実は他社もやっていた
「これは他社にはない独自の強み」と思っていたら、実は競合も同じことをアピールしていた…というケースもあります。
💡対策: 競合調査は徹底的に行いましょう。特に、自社のホームページだけでなく、競合のSNSやお客様の口コミもチェックすることが大切です。

3. ターゲットを絞りすぎて市場が小さすぎる
ターゲットを絞るのは大切ですが、あまりに狭く絞りすぎると、ビジネスとして成立しないこともあります。
💡対策: 「このターゲットの市場規模はどれくらいか」「このターゲットにはどれくらいの支払い能力があるか」を事前に検討しておきましょう。

4. 顧客視点ではなく、自社視点で考えてしまう
「我々はこれに力を入れています」「こんな技術があります」といった自社視点の訴求は、顧客に刺さりにくいです。
💡対策: 必ず「だから、お客様にとってどんなメリットがあるのか」を具体的に伝えましょう。

やってみよう!:レベル6 クエスト

さて、ここからは実践編です。USP戦略を自社に取り入れるための3つのステップをご紹介します。今週中に取り組んでみてください!

Step 1:真のターゲットを明確にする
以下の質問に答えて、自社の真のターゲットを明確にしましょう。

・過去最も満足してくれたお客様は、どんな人(企業)でしたか?
・その人(企業)は、なぜあなたの会社を選んだのですか?
・どんなお客様と接するときが、最もやりがいを感じますか?

これらの質問から見えてくる共通点が、あなたの会社の真のターゲットかもしれません。

Step 2:究極のベスト提案を考える

ターゲットが明確になったら、そのターゲットにとっての「究極のベスト提案」を考えてみましょう。以下の質問を自問自答してみてください。

・そのターゲットが本当に解決したい問題は何ですか?
・そのターゲットの理想の状態はどんな姿ですか?
・あなたの会社は、その理想を実現するために何ができますか?

Step 3:自社のUSPをまとめる

ここまでの検討を踏まえて、自社のUSPを一文でまとめてみましょう。

「○○な人(企業)に、△△を提供することで、□□を実現する」

この文章が、あなたの会社の「選ばれる理由」になります。この文章を基に、ホームページやチラシ、SNSなどの情報発信を見直してみましょう。

レベルアップ!

おめでとうございます!あなたはUSP戦略を攻略しました!これで「選ばれる理由」を作るための基本的な考え方をマスターしました。

この知識を実践に活かせば、価格競争に巻き込まれることなく、本当に価値を感じてくれるお客様を集めることができるようになります。

レベル5 冒険の書

💡① USPとは「選ばれる理由」である
価格競争から抜け出し、独自の価値で選ばれるための戦略
明確なUSPがあると、自然とお客様が集まってくる

💡② USPを作る3つのポイント
・ターゲットを絞る(特定の層に特化する)
・究極のベストな提案を考える(競合より「少し良い」ではなく「顧客にとっての最高」を目指す)
・競合と比較して差別化する(唯一無二の提案を目指す)

💡③ USPがもたらす4つのビジネスメリット
・価格競争から脱却できる
・集客コストが大幅に下がる
・お客さんが自然と集まるようになる
・口コミが生まれやすい性

獲得したスキル

・差別化戦略力 +20 【達成】
・顧客価値創造力 +15 【達成】
・USP設計力 +25 【達成】
・競争回避力 +15 【達成】

次回は「【Lv.6】信頼構築の仕組みづくり」について解説します。USPで興味を持ってもらったお客様との信頼関係を築き、成約へとつなげる方法をお伝えします。お楽しみに!

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